一柳美結シリーズ (中公文庫) 2013年6月 〜 2014年7月刊

十方暮の町 (カドカワ銀のさじシリーズ)
                    2011年9月刊

封じられた街
 〜北風のポリフォニー〜
(ポプラ社)

2008年11月刊

ピュアフルアンソロジー
もうひとつの夏休み。
(ピュアフル文庫)  
『アイム・ノット・イン・ラヴ』を収録

2008年7月刊  

ピュアフルアンソロジー Kiss. 
(ピュアフル文庫)  
『四年目のオーキッドレイン』を収録

2006年11月刊  

works

封じられた街
 〜薄氷のディープシャドウ〜
(ポプラ社)

2009年3月刊

『あの日から -東日本大震災鎮魂 岩手県出身作家短編集-(岩手日報社) 2015年10月
「もう一人の私へ」を収録

ノヴェリストの季節 (徳間書店) 2016年3月

*「雨の鎮魂歌」に対して寄せられた声をここに掲載します。*

重松 清氏(作家)
物語の色調は、悲しみとせつなさを湛えた暗い青。
でも、その底に流れているのは、少年たちの狂おしいほどの
生の赤。
切れば、血がにじむ。
どこに――?
物語に。行間に。そして、ぼくたちの胸に。

この新しい作家の、物語を紡がずにはいられない業の叫びを、
ぼくは確かに聞いた。
「ふやけた読み物ばかり書いてるんじゃないぞ」と活を入れられた。
ごめん。
ぼくは、これからもふやけた読み物しか書けないと思う。
でも、だからこそ、沢村鐵さんの小説をこれからも読みつづけたい、
と思う。


松浦理英子氏(作家)
これがデビュー作とは思えないほどのストーリー・テラーぶりに舌を巻いた。
何よりも、作者の眼は主要登場人物の心の襞の隅々にまで行き届いていて、基本的には純情な少年少女たちの、(生身の人間には当然あり得る愛すべき)屈託や、卑怯さや、友人への対抗心等もとても誠実に描かれている。

犯罪事件をきっかけに、少年少女たちの無邪気な友情や愛情が、一度は疑われながらも、他人や自分の汚い部分まで認め合い受け入れ合う、というふうに成長して行く(大人になる)、というテーマが見事に生きている。

作品に顕われた作者の<魂のあり方>に、感動した。

このソウルフルな小説を、今の中学生や高校生に是非とも読んでほしいと思う。


池上冬樹氏(評論家) 「週刊小説」‘00/12/7 号より
今年も多くの新人が出てきた。特に新人賞からデビューした作家たちは、それぞれ何回か賞の最終候補に残っているので、そつがない。手堅くまとめて申し分ない。言うなれば、文学賞も受験のひとつ、傾向と対策をしっかりと練って見事パスしました・・・・・・と皮肉を言いたくなるほど優等生的で、デビュー作なのに物語に対する愛情が醒めている。どこをどう探しても、小説を書きたいのだ、書かざるを得ないのだという思いが伝わってこない(もちろん全員がそうとはいわない。『輪廻』の明野照葉のように珍しく“業”を感じさせる作家もいる)。

そんなとき本書に出会った。これはいい。デビュー作がもつべき語らざるをえない衝迫、それが全篇にみなぎっているのだ。しかもテーマ把握が抜群なので、物語の世界に没入させ、読者の胸を熱くさせるのだ。

仁木徹也は中学3年生。ひそかに幼染みの橘路子に思いをよせていたが、路子は生徒会の仕事で古館英明や生徒会長の一村和人と親しく付き合っていた。
ところが夏になって状況が変化する。まず、一村が登校しなくなり、徹也たちが心配して、一村の家を訪れても不在。いったいどうしたのかと思っていると、旧校舎で一村が遺体で発見される。見れば、古館と路子の様子がおかしい。何か知っているのではないか?
やがて第二の殺人事件が起きる・・・・・・。

と紹介すると、学園ミステリのひとつと思われるかもしれない。事実、作者はきちんと伏線を張り、プロットも練られているが、でもミステリの部分は重要ではない。作者が重視しているのは、事件を通して少年たちが何を得、何を失ったかである。つまり青春小説としての完成度なのだ。少年時代に体験する友情、恋、孤独、絶望などを丁寧に掬いあげ、読者が忘れている未知の世界と触れ合う恐怖、“関係”の重さ、繋がり合うことの困難さと喜びを実に抒情豊かに綴っている(海岸でキスする情景の切なさといったら!)。

この眩しさ。どこか気恥ずかしいけれど、懐かしい若き日々。それを作者は鮮やかに喚起させ、もう一度青春のただなかへと読者を連れ戻す。<生>をダイレクトに感じさせるのだ。

饒舌だし、ミステリの部分は弱いかもしれない。でも、これほど熱く激しく青春を謳いあげた作品はかつてなかったのではないか。これほど語るべきものを持ち、小説に対して溢れんばかりの情熱を抱いて出て来た新人もまた。断言しよう、「沢村鐵」は今年出た新人のベストだ。


29歳・女性
ダイアログの自然さ、仁木徹也の等身大の文章が活々として魅カ的でした。全編を通して、文体に清涼感と、品性を強く感じました。
途中、何度も本を閉じました。小説の内容と自分の人生を重ね含わせる事か多く、苦しかったからです。涙が溢れて仕方なかった。私は夢が燃え落ちる度に、息を詰まらせていた。その聞も仁木徹也はよちよち歩きで書き続けた。

とても苦しかったけれど、それでも持ち堪えられたのは、仁木徹也の紡ぐ言葉が優しい雨の様に私を包み込んでくれたからだと思います。
「手紙」を確かに受け取りました。本当にありがとうございます。


28歳・男性 演奏家
僕が好きな音楽に多分共通して言えることは、メロディが綺麗だったり、リズムが気持ちよかったり、演奏が上手かったり、アレンジがカッコよかったり、斬新な展開があったり、とか、そんなことではなく、その作り手の人が、見えるかどうかということ。演奏者の気持ちが、直に伝わってくるもの。「俺は、これしかできないんだ!」とかの不器用な叫びや、「音楽ってこんなに楽しいんだ!」と愛情溢れる響き、とかいろいろ。

僕には、この本から「書きたい! 表現したい!」という衝動が、凄く強く伝わってきました。(と書いてしまうと、凄くない様ですが、ホントにそう思ったんです。) 書き手の気持ちが文面にあらわれてる気がして、驚きました。

僕は、あの物語の中の出来事や、状況を体験はしてないですけど、読み進んでいくうちに、彼等の状況とは違う自分の学生時代や、今迄、生きてるうちに感じたり思ったしたことと同調できることがいくつもあって、せつなくなったり、はらただしくなったり、自分に自信持てなくなったりとかそんな想いを持ちながら、読んでました。

言葉にすると、ちっぽけなんですけど、ホントに読んで良かったです。


29歳・男性 会社員
あ一、こんな中学蒔代が送りたかった!(友人が死ぬのは絶対いやだけど)
登揚人物の殆ど全員の名前をフルネーム、漢字で覚えたのは初めてです。見せ場づくりが上手すぎ。しかし、全てのエンタテイメントが魂のあり様、成長にいきている。ディテールにいたるまで作者の「悪魔のように細心に、天使のように大胆に(by黒澤明)」でのぞんでいる姿が見えた。物語の力。

・・・・・・あかん、全然、読んでいる時の感動、面白さ、読み終わったあと、一日、物語の力に圧倒された感じが書けない。感動、という言葉では言い表せない、感動なんて言棄では言いたくないです。

「雨レク」は僕の中で確実に生きています。そしてこれからも。


31歳・男性 大学院生
作者・沢村鐵が紡ぐ言葉の映像喚起カは見事で、言葉というもの、そして装置としての小説の底力を改めて信じてみようかという気にさせられた。

その一方で、読み進むうち、僕は著者の存在を、極カ頭の中から排除しようと努めるようにした。なぜなら、物語の中でもそう暗示されているように、「物語(小説)」とは著者のものであると同時に、誰のものでもない、読者ひとりひとりに属するものだからだ。

優れた物語にはどれも「神」か宿っているように思える。いわば「物語」という名の神――もちろんその姿は一様ではない――が、読者それぞれの上に宿る奇蹟のような瞬間は確かに在って、僕を含め読者の多くは、(やや大仰な言い方になるけれど)まさにその「降臨」の瞬闘のために、物語を求め続けるのではないかと思う。『雨の鎮魂歌(レクイエム)』読了後、僕の頭上にはまちがいなく僕にしか見えない「唯一神」が宿っていたように思う。

誰にでもある、しかしどこにもない物語。それは言い替えれば、青春期を過ぎた人達にとっても、またその真っ最中の人達にとっても、永遠の「来るべき物語」ということであり、その意味で『雨の鎮魂歌(レクイエム)』は皆が待ち続けていた、またこれからも待ち続けられるであろう物語だと思う。まさに物語の終幕のフレーズのように、「霧雨のなかを抜けて、ここへ向かってくる仲間たちを、ひたすらに」待ち続けている――。


32歳・男性 思想研究者
私は感情描写の濃いものは苦手にしている。だがこの本に関しては不快感を覚えなかった。主人公の感覚に近しいものを感じたからである。

中学の時分から、思想を人生の中心に据えてきた。誰よりも重要な問題に意識をあててきたつもりだ。しかし全カを注いで向き合い、寝る間も惜しんで考えても現状では答えが出せず、さらに考え続ければ気が狂うような問題もある。かといってそれを忘れることもできない。ならばこれまでの成果を保存し、その問題をしまっておける場所、何年経ようと決してその間題が劣化しない保管庫をつくり出せばよい、と私は考えた。しかし、じわじわと続けている者もいたのだ。いつのまにか永久冬眠させてしまうところだった。目の前で、それを紡ぎ出されてしまった者の衝撃を理解できるだろうか。くやしい。この本の作者は、しつこい亀のような男だ。

この本の一番の特徴は、文を愛し文を読む事に長いときを捧げてきた人間が、この上なく誠実に、真撃に紡いだ言葉で綴られている、という点だ。このような本は読んだことがない。こんなに近しく感じられる文も読んだことがない。文章との関わり方における作者の態度には胸を突かれる。誠実に書いても、これだけおもしろいものが書けると知った。自分にも、やれるのではないかという気持にさせてくれる。これほど熱中して文に接したのは何年ぶりだろう。この本に出会えたことに、とても感謝している。


33歳・女性 会社員
この物語のもつエネルギーに、感電してしまったような状態です。なにか上手い言葉が出てきません。正直言って、どこまで理解できたか自信もありません。

ただ、きっと小説というものは、本来これほどの「力」を持っているべきもので、久しぶりにそのことを体感しました。
そして今も雨に包まれている感じが続いています。


34歳・男性 会社員
主人公の正義感、誠実さ、ナイーヴさが、通俗的な主人公像にはまらず面白い。とくに路子と由夏のあいだで激しく揺れながら、決していい加減にならずにいるところは、大好感でした。

他者への溢れるばかりの愛情とナイヴ、逆に輝ける自意識のなかでもがき苦しんでいるという二重性、そんな孤独なる魂を引きずっているという点に、強いシンパシーを覚えます。主人公たちのこの季節、この時間の一回性を考えると、泣けてきました。

太宰治が、青春を封じ込めることができるのはごく限られた選ばれた人だけだと言ったけれど、そういった意味でこの小説は、時間を封じ込めることに一番エネルギーが注がれたのだということがわかります。時間を経ても色あせない一回性と、パワーを感じるわけです。

僕には十二分に、物語が届きました。


68歳・男性 元教師
最初は物語の展開がいささかのろく、リアリティが薄く感じられたのですが、読み進むにつれてすっかり物語世界の虜になってしまい、ほとんど徹夜で読み終えました。

文体、特に会話文のそれに、今の若者の世界をうかがわせる特異な新鮮さを覚えさせられました。23章には、作者の哲学的文学観が端的に鏤められていて、実に詩的でした。
32章以下も、作者の思想的断章のようで圧巻でした。おそらく、折に触れて読み返すところになるでしょう。

徹也少年の繊細な心の痛みが、直かに心臓に触れて来て、いたたまれない思いです。この種の小説(文学)は苦手な私ですが、心優しい少年の紡ぐ壮大な物語に圧倒されて、言葉を喪ってしましました。

第2作、第3作も大いに期待しております。

クランシリーズ (中公文庫)2015年7月〜

運命の女に気をつけろ
(ジャイブ)

2008年6月刊

雨の鎮魂歌(レクイエム)
(幻冬舎)

2000年10月刊

封じられた街上・下 (ポプラ文庫ピュアフル)
                     2011年9月刊

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